
山吹祥子 - Jewelry designer
5つの言葉
1「 苦労したぶん自信がついて余裕が生まれるもの」
山吹祥子という女性は、柔らかな華やぎをまとっている 。“余裕”という言葉は、まさに彼女にふさわしいのだが、その根底 に積み重ねてきた苦労があることを一見して感じ取るのは難しい。
まるで完璧なろ過装置を隠し持っているかのように、彼女は過去のあらゆる経験をプラスのオーラに変えて全身から匂い立たせている のだ。
2 「それはね、慌しい空間から“逃げる”こと 」
自身が経営する会社でデザイナーからPRまですべての役割をこなし、家庭では妻 であり、母親でもある。 たった一つの身体と限られた時間の中で、どのようにバランスを保っているのか?
その 秘訣は、何かに行きづまった時、じっとそこに立ち止まらないことだという。 日常を離れた新しい空間への逃避。行き先は海外でも、公園でも、オペラ観劇でも構わない。大切なのは 景色の違う場所で呼吸を整えることと、湧き出るインスピレーションに耳を傾けること。
そんな意味合いを込めて彼女が発する “逃げる”という言葉には、どこまでも 前向きで寛容な響きが感じられる。

3「実際の評価を手に入れたとき、私は輝きを与えてもらう 」
山吹祥子にとって“輝き” とは、 仕事の成功によって放たれるもの。対象が他の誰かでも、自分自身でも 、その基準が変わることは ない。
自分の 足で立ち、成功を掴んでいる人が一番綺麗だと確信している。その山吹祥子 が成功を自覚する瞬間 は、彼女のジュエリーを美しく付けこなしている人を見たときに 訪れるという。
身に付けている人に一層の魅力を与え、 真に生きている作品の姿こそが、何ものにも及ばぬ力を持って彼女を輝かせるのだ 。
4 「一つの物を大切にすること。それが今の日本には欠けているんじゃないかしら? 」
QUELLE CHANCEのジュエリーの中でも人気を集めるアイテムの一つに、誕生石をあしらった 「Mon Port Bonheur = 私のお守り」という名のペンダントがある。
知人のフランス人男性のペンダントにヒントを得て作られたもの。洗礼を受けた日から今日に至るまで、 彼と共に時間 を重ねた物に宿る“ 親密な古さ”に彼女は魅せられたのだ。
情報が氾濫し、めまぐるしく変化するトレンド、次々に生み出されては消費されていく“新しい物 ”たち。そんな日本の 現状を眺めながら、山吹祥子は作品を通して“受け継がれる物”の 持つ力と価値を優しく問いかけている 。

5 「好きなことをやっていれば、頑張れる力が全然違う 」
2009年、山吹祥子は活動の拠点をロンドンへ移す。4年ほど前 に大きな病を克服した彼女は、やりたいこ とすべてにしっかりと手を伸ばし、この10年に勝負をかけたい と思うようになったのだという 。
病に立ち向かった過去の想いが、自分らしく生きる未来への決意に形を変え たのかもしれない。格式高い文化の香りと 伝統が色濃く残る“ジュエリーが映える街 ”で、新しい ステージが始まろうとしている。
{(object)photo by Gosuke kitayama ,Hair&make up:AG via
Goldship}
矢島由紀子の編集後記
影響っていう言葉は、「影」と「響き」で出来ているのですね。
日々の生活や仕事をする中で、誰かとの間に“関係” が生まれる以上、
ほのかでも優しい影を落とし、静かでも美しく響き合いたいものです。
でも人生で一度くらいは、
鮮烈な光で濃い影を作り、互いを圧倒するほど激しい和音を生んでみたい気もします 。
「素敵だ と思える先輩が沢山いるから、年を取るのが怖くない」 と、
山吹祥子さんはおっしゃっていました。
私という人間は、その 少し後ろに立って同じことを思いながら、
いつかは私の後ろにも、そのまた後ろにも・・・と、見えない連なりを 夢見ています。
そして、そこに「影」と「響き」が途絶えぬことを願っています。
山吹祥子さん、ありがとう。